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TATEditorで小説同人誌の入稿用PDFを作ろう

※2018/09/11 コンテンツを少し整理しました。
※2017/09/10 「PDFのサイズを調整しよう」に追記しました。

最初に

昨年、TATEditorを使って入稿用PDFを作成し、小説同人誌を作成しました。
当時は使っている方をあまり見かけず情報を仕入れられなかった為、フォント埋め込みなどがうまくいっているのかどうか分からずどきどきだったのですが、何事もなくさらりと入稿完了できて胸を撫で下ろした覚えがあります。

使用している最中にいくつかバグらしきものを発見したので、そのたびに作者さまにTwitterで報告させていただきました。中には結構クリティカルな案件もあり、これは締切に間に合うのかな……と危ぶんだりもしたのですが、こまめなバグフィックスをしていただけたおかげで、ばっちり間に合いました。本当にありがたかったです。

最近になってあちこちで「TATEditorで小説原稿が作れるらしい」という話を聞くようになり、以前から使っていた人間としてはちょっと嬉しかったりします。
ということで、これを機に私の使い方を晒してみることにしました。TATEditorはいいぞ。



初めての起動

TATEditorは、配布サイトから入手できます。
Windows・Mac・Linuxに対応していますので、お使いの環境に合わせてダウンロード・インストールしてください。

インストールが済んだら、とりあえず起動してみましょう。

初回起動時には、初期設定画面が表示されます。

初期設定画面

あとででいくらでもいじれますから、デフォルトフォント以外の設定は適当でOKです。
ページ設定の部分ものちほど設定しますので、あまり気にしないでください。

私はスクリーンショットの通りに設定しています。フォントは源暎こぶり明朝です。
TATEditorは、表示しているフォントをそのままPDF出力に使用します。ですので、設定するなら明朝体がおすすめです。

小説を出力する際に必ず問題となるのが、ダッシュ(ダーシ)です。
――」と表記すれば、ぴんとくる方も多いのではないでしょうか。

ダッシュはふたつセットで使用するのがセオリーとなっていますが、フォントによってはふたつの線がくっつかず、間にスペースが空いてしまうものがあります。
「本文に使用したかったけれど、ダッシュが繋がらなくて泣く泣く他のフォントにした」という経験をお持ちの方も、おられるのではないかと思います。

実は、TATEditorには「指定した文字だけを他のフォントの文字に置き換えられる」という設定があります。(具体的な手順については後述します)
ですので、ここで選んだフォントのダッシュが繋がらなくても問題ありません。
心おきなく、本文に使用したいフォントを選びましょう。

どの辺のフォントがいいのか分からない!という方には、こちらの素晴らしいまとめがおすすめです。


ルビ・傍点などを入力してみよう

初期設定が完了したら、「Finish」をクリックしてください。晴れてTATEditorのエディタ画面が表示されます。

エディタ画面

初期設定画面の「縦書き」にチェックをつけていましたので、起動したらいきなり縦書きです。

ルビ・傍点・縦中横などが、整形された状態で綺麗に表示されていますね。

ワープロソフトとエディタの違い

文章を扱うソフトには、2種類あります。ワープロソフトエディタです。
ワープロソフトとエディタの違いはこんな感じです。

ワープロソフト

  • 文字に対して、サイズや色・文字間隔や行間の調整といった「装飾」を設定できる
  • 装飾情報は、ファイルの内部的な部分に保存する
  • 同じ形式を扱えるソフトウェアを使わない限り、中身を参照できない

エディタ

  • 文字に対して、装飾は一切できない
  • 入力した文字だけをファイルに保存できる(文字のみが保存されているファイルを、「プレーンテキスト」と呼びます)
  • エディタ・ワープロソフトの双方で、中身を参照できる

こうして並べると、ワープロソフトの方がすぐれているように見えるかもしれません。
しかし実際は、使い道によって使い分ける場合がほとんどです。
印刷物を作成したい時や文章にメリハリが必要な場合は、ワープロソフトが好まれます。
反対に、プログラミングのように装飾情報が邪魔になる場合は、エディタ一択になる訳です。

有名なワープロソフトといえば、WordPages一太郎です。Windows付属のワードパッドや、Mac付属のテキストエディットもワープロソフトに含まれます。

エディタの有名どころは、WindowsならOS付属のメモ帳やフリーウェアのサクラエディタTeraPad秀丸エディタ
Macの場合はフリーウェアのCotEditormiなどが挙がるでしょうか。
(他にもたくさんありますよ!)

ちなみに、TATEditorはエディタです。
つまりルビや傍点、縦中横といった情報は、大元のファイルには保存されていないのです。

プレーンテキストを開いたはずなのに、どうして整形されているのでしょう?
これは、TATEditorならではの入力方法に秘密があります。

メニューの表示装飾機能を確認してみてください。

表示>装飾機能

チェックが入っていますね。これを一旦外してみます。

チェックを外しました

さて、先ほどの部分はどうなっているでしょう。一目瞭然ですね。

TATEditorは装飾情報をファイル内部に保存できない代わりに、装飾情報を「記号という文字」で、本文の中に保存しています。本文中に特定の記号を入力すれば、装飾機能をオンにするだけで綺麗に表示してくれるのです。

小説の文中によく使われるルビ・傍点・縦中横の入力規則は、こんな感じになっています。

設定 記述 サンプル
ルビ 《》の中にふりがなを入力します。 素面《しらふ》
傍点 *(大文字のアスタリスク)で文章を囲みます *あの*人物
縦中横 _(大文字のアンダーバー)で文章を囲みます _15_ページ

ちなみにF12を押すことで、縦書きと横書きを切り替えることができます。
「普段は横書きで文字書きしたいけど、PDF出力時だけは縦書きにしたい」という方におすすめです。


繋がらないダッシュを繋げてみよう

まず、最初に。
この章は少々とっつきづらいかと思いますが、一度設定してしまえば何度も開く場所ではないので、ちょっとだけ頑張りましょう。

前準備

ダッシュについて

日本語における「ダッシュ」には、2種類の文字のいずれかが用いられています。

名称 文字 文字コード(Unicode)
EM DASH U+2014
HORIZONTAL BAR U+2015

信念を持って選ぶ場合は、

  • 「ダッシュとして制定されている方を使うよ」のEM DASH派
  • 「見た目さえちゃんとしてれば別にいいじゃん」のHORIZONTAL BAR派

に分かれるようです。
「どちらが正しいか」という論争もあるようですが、ここでは割愛します。

作業を行う前に、自分が使っているダッシュが「EM DASH(—)」と「HORIZONTAL BAR(―)」のどちらなのかを把握しておく必要があります。
確認はTATEditor上で行えます。
入力画面に普段お使いのダッシュを入力し、選択状態にしてください。ステータスバーに文字コードが表示されます。
この数字を覚えておいてください。

選択状態にします

次に、ダッシュの繋がるフォントを確認しておいてください。現在エディタに使用しているフォントとは異なるもので構いません。

Windows
MS明朝 …… EM DASH・HORIZONTAL BAR共にが繋がります。
Mac
ヒラギノ明朝 ……EM DASHは繋がります。HORIZONTAL BARは繋がりません。
凸版文久明朝(Sierra以降のmacOSに搭載) …… EM DASHは繋がりません。HORIZONTAL BARは繋がります。

設定

初期設定で軽くお話しましたが、せっかく見目の良い明朝体なのに、ダッシュが繋がらないフォントというのは案外多いものです。
例えばこんな感じ。

線がつながらない!

片方は繋がっていますが、もう片方は繋がっていないのがお分かりいただけるかと思います。

さて、具体的な設定を行うには、メニューの表示フォントを選択します。

表示>フォント

フォントの詳細設定画面が表示されます。

フォントの詳細設定画面

当方の環境はMacなので、「Apple Color Emoji」が先頭に設定されています。
このフォントはPDFに埋め込みできないため、PDF出力時に警告が出るなど、後々邪魔になってきます。

小説の文中でカラー絵文字(携帯電話・スマートフォンで使われているあれです)を使う方はまずいらっしゃらないと思いますので、同じくMac環境の方は、最初に削除してしまいましょう。
右端のDeleteをクリックで削除できます。

前もって調べておいた「線の繋がるフォント」を追加しましょう。
追加は、右の一番下にあるChoose fontから行います。

Choose font

今回は「ヒラギノ明朝」を追加してみます。

「ヒラギノ明朝」を追加

先ほどの画面の一番下に、今選択したフォントが追加されます。

フォントが追加されました

これだけでは差し替えになりませんので、差し替え対象となる文字の指定をしてやります。
入力する場所は、From (U+xxxx)To (U+xxxx)の二箇所です。

前準備で確認した文字コードの数字4桁(2014か2015)を、二箇所ともに入力してください。
先頭に「0x0000」をつける必要はありません。数字を入力することで、自動的に補完されます。

文字コードを指定

フォントの設定は一番上が最優先となっており、下になるほど優先順位が低くなります。
一番下に追加されている行をPriorityの上下ボタンを使って一番上へ移動させ、最優先にすることで、「ひと文字だけ別のフォントを使う」設定が反映されます。

Priorityを変更します

並び順を変更し終わったら、OKで設定画面を閉じましょう。
入力していたダッシュが繋がっていれば、設定完了です。

ダッシュが繋がりました

前準備はここまでです。
次は、いよいよ原稿出力用のフォーマットを設定していきましょう。


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